以前に書いた記事で、偉そうに
「株価が上昇する時は必ず、ローソク足が移動平均線の下に位置していた状態から上の位置に転換する!どんな銘柄でも必ずだ!」
と書いたことがありました。
そして5日移動平均線でこの転換サインが出現したポイントを無作為に500ヵ所調べた結果、
その翌日も陽線になった確率が34%にしかならなかったのです。
5日移動平均線のローソク足の下側から上側への入れ替わりポイント、というだけでは、
まったくトレンドの転換のサインにならない。ということです。
当たり前ですよね。それだけでは…
しかし、上がった株にはそのポイントが必ずあるという点では正解です。
ここになんらかのプラスアルファのサインを加えたなら、もしかしたら、
そこから上がっていく確率がグッと上がる「抽出ポイント」になるんじゃないだろうか!?
あなたも、そう思いませんか?
hそこで今回、この「5日移動平均線を最初に越えた日」にプラスするサインは、
「ダウ理論の最中の押し目」です。
ダウ理論はあなたもご存知だと思います。
私は、恥ずかしながら最近まで、詳しい内容はよく知りませんでした。
FXのチャートを読む時によく使われている、「トレンドの転換点」を探るチャートを読む方法です。
しかし、元々は株のチャートを読むために考えられた相場環境を読む方法だそうです。
ダウ理論を大まかに説明しますと、
トレンドを形成する時にできる波(ジグザグ)がありますよね。
下げトレンドなら前回(直近)の安値を下回りながら波を打って下がっていきます。(下げダウと言ったりします)
上げトレンドならその逆。
ジグザグした波の安値の下限を切り上げ、高値の上限を更新しながら徐々に上昇していく形。
トレンドが転換するときはこの流れが崩れるわけです。
今回調べるのは、
日足で
下げダウが崩れてトレンドが転換し、上げダウが形成さたと確認された後の
最初の押し目から(5日移動平均線の下にローソク足がある状態)
5日移動平均線の上に最初にローソクが位置した日の翌日に
朝に寄り成りで買って
その翌日、3日後、5日後に、
利益が出ているか
マイナスになっているか
を検証します。
(上げダウが続けば次の波動の押し目も数えていく)
パターンは下図の二つをトレンド転換のサインとし、上げダウになったと確認した後に、波動が転換し、5日線の上にローソク足がきたポイント。
↑最初に安値を切り上げてから直近の高値を更新。これをトレンド転換とするパターンA
↑最初に直近の高値を更新してから、前回の安値まで下がる前に上位ターンするパターンB
これらの買いポイントは、ある意味
日足でテクニカルでトレードする人の鉄板ポイントではないかと私は思うのですが!どうでしょう!
データの期間は、
まず、
2019年7月18〜2020年1月17までの半年間
銘柄は、
- ソフトバンクグループ
- ソニー
- ファーストリテーリング
- 東京エレクトロン
- トヨタ自動車
- 任天堂
- 三菱UFJフィナンシャル
- ループ
- SUBARU
- 信越化学工業
- スズキ
- 村田製作所
- アドバンテスト
- キーエンス
- 太陽誘電
- SUMCO
- パナソニック
- KDDI
- 第一三共
- Zホールディングス
- 三井住友フィナンシャル
(これは2020年1月7日の売買代金の上位20です。)
そこから半年分は
20201月18日〜7月17日まで
銘柄は、
- ソフトバンクグループ
- ファーストリテーリング
- 東京エレクトロン
- ソニー
- 任天堂
- レーザーテック
- 日本電産
- ロコンド
- 日立製作所
- Aiming
- UFJフィナンシャルグループ
- アンジェス
- ペイカレントコンサルティング
- キーエンス
- 日産自動車
- アドバンテスト
- 三井住友フィナンシャルグ
- ループ
- テラ
- ファナック
こちらは2020年7月17日の売買代金上位20銘柄です。
合わせて1年分の期間での検証です。
(※売買代金上位銘柄を選んだ理由は、売買代金の少ない銘柄では数人の個人の力で株価を操作されて、しまう恐れがあると考えたからです。)
これらの検証で、
「ダウ理論での押し目+最初の5日線越え」
が、有効な買サインになるかどうかを知るのです。
さあ、どうなるでしょう!?
調査結果
多いパターン順では、
買った日→3日後→5日後
+ + + 35
− + + 24
− − − 18
− − + 14
+ − − 10
+ − − 8
− + − 4
+ + – 3
計 116ヵ所
という結果でした。
ダウ理論での押し目から5日線越えが現れる頻度は?
今回、期間1年、売買代金の多い20社を調べたのですが、
ここで、今回現れた抽出ポイントが116ヵ所。
平均値ですが、
116ヵ所÷20社=5.8回
!!!
1銘柄につき平均、年間5.8回しか現れない計算になります。
少な!
数字の上では、2ヶ月に1回程度の頻度です。
そんなもんなのか!
1年の間には下げ相場の期間もあります。下げ相場の期間は「下げダウ」になるので、その期間は、今回の抽出ポイントは、ほぼ現れません。
(※この調査期間1年間には、2〜3月コロナ暴落の期間があり、そこはいっとき下げ相場ですので上げダウはほぼ出てこなかったはず)
チャンス?はけっこう少ないんですね。
しかし、もしかしたら、銘柄それぞれに、このポイントが現れる日はズレているとも考えられますよね。
毎日スクリーニングして、チェックして、そのポイントが、翌日に買うに値するか吟味する。
そうすれば、銘柄を乗り換えることで、トレード回数を増やせるかもしれません。
と言っても、この買いポイントが有効であればという話ですが…。
そこまでやるのは強欲でしょうか。
そこまでこだわるくらいの重要な買い地点だとあなたは思いますか?
各パターンの分析
買い当日プラスになるのは何%?
上げダウ発生後の押し目から5日線をローソク足上に乗った翌日朝に成り買いして、その日にプラス(陽線)になった確率は、
48.3%でした。(56ヵ所/116ヵ所)
半分を割っています。
ん〜。このポイントで買うのは、美味しくないのか?
とはいえ、以前の調査で、「上げダウ」を対象にせず無作為に選んで調査したときは、陽線が出る確率が38%しかなかったことを考えると、
「ダウ理論を入れて抽出したほうが10%ほど確率は高くなった。」
と言えます。
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陽線で5日移動平均線より上に最初に位置した日の翌朝に寄り成り買い。当日の勝率は?
しかし、ここで見切るのはまだ早い!
買い当日陰線でも、
3日後、5日後にプラス圏に上がって行く確率を見てみないと。
ここが最も大事だとおもいます。
買った日に陰線になったのは、
60ヵ所/116=51.7%
なのですが、
この中で、3日後にプラス圏に上昇してきたのは
28ヵ所/60=46.6%
ん〜、微妙だ。
買い当日陰線になって、それを5日目まで持ち続けたら?
では、買い当日に陰線で、5日後まで持ち続けた時にプラス圏にまで上昇する確率はというと
38ヵ所/60=63.3%
ちょっと上がりました。
調査データによると
買った日→3日後→5日後と
− → − → +
というパターンがこの中に18回もあったのです。
たぶん、「買い当日に高値で寄り付いて長い陰線になってしまい、そこからダウ理論の通りに上昇して、やっと5日目に買値を超えた。」
というパターンがけっこうあったようです。(未確認)
あなたは、買い当日→3日後とマイナス圏になっても、損切りせずに持ち続けますか?
※ここで自分に甘くするとすれば、上げダウが継続中だと判断するなら、
前回の波動の安値に達する前に株価が折り返してくるはずですので、持ち続けるという策もあります。
(この場合損切りラインは前回の安値)
検証結果の感想
もう一度、重要な結果を確認しましょう。
上げダウ形成確認してからの押し目の上げっぱなポイントはけっこう少ない。
パターン別では、
+ + + 35 がトップ
これが救いです。
− − − 18 については、
5日線越えのサインが、上げダウの押し目からの反転ポイントではなかったのを間違えて買う危険性を示していると思います。
想像の域を超えませんが、前日のNYダウが高く終わって、
下降波動が終わっていない銘柄までが、つられてローソク足が5日線の位置に上がってしまったのを、
反転ポイントと認識して調査に入れているところもあると思います。
短い日数で5日線の上下を行ったり来たりで判断しづらい場面もある
銘柄のなかには、綺麗なダウ理論どおりの波動を作らず、2日や3日、中には1日で、5日線の上下を行き来するような銘柄もあり、
そこら辺が、調査結果を今ひとつ、ハッキリしないものにしてしまったところもあります。
いかがでしたでしょうか?
調べれば調べる程、テクニカルだけで勝つのは難しいと感じてしまいますが、
「全ての答えはチャートに現れる」
と言って、チャートだけで勝っているトレーダーもいらっしゃいます。
そう考えると、勝つには大きく負けない資産管理が大事何かなと思いました。
おわり。